対象物の検査つまりキズや欠陥を探知するには、対象物に接触したり内部破壊が必要でしたが、非破壊検査とは対象物に触れずに行える方法の事です。原理はいろいろあり、その中でも赤外線を利用した方法は広く行われています。赤外線は200年ほど前に温度を高める働きがある太陽光の一部として発見されたものですが、中でも熱線と呼ばれる遠赤外線は暖房器具に応用されています。ほかに波長の違いで家電のリモコンに使われるものなどもあります。
すべての物体はこの赤外線を多かれ少なかれ出しているのですが、それをサーモグラフィというものを通して温度の差として観ることが出来ます。非破壊検査はこの原理を使っていて、僅かな温度の差でキズや剥離などの欠陥の発見に応用しているのです。この光は温度を上げる働きがありますので、あらかじめ積極的に特殊な光を照射する事で対象物の温度を上げ、下がっていく過程で温度変化を見極めて欠陥などの発見を容易にする光励起方式もあります。赤外線利用による非破壊検査の対象は広く、マンションなどの建物の外壁や柱の劣化程度を調べたり、機械や航空機、船舶など溶接部分、橋梁やトンネル内のコンクリート接着面の剥離の有無などにも使用されています。
他の方法の非破壊検査と同様にこの検査方法にはどうしても探知の限界があったり、検査結果に悪影響を及ぼす因子があったりしますのでこれらを踏まえて使う必要があり、また、検査結果の正しい評価も必要になります。
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